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田中 伊知朗; 栗原 和男; 茶竹 俊行; 新村 信雄
Journal of the Physical Society of Japan, Vol.70, Supplement A, p.459 - 461, 2001/05
原研JRR-3Mにおいて生体高分子結晶用中性子回折計(BIX-3)が建設された。そこには筆者らによって開発された中性子イメージングプレートや弾性湾曲Siモノクロメータなどの最新の技術革新が応用されている。これらによって、ルブレドキシンやミオグロビンの結晶から約1ヶ月でデータセットを得ることができるようになった。そのデータ分解能は1.5Åで、水素原子の位置同定を高い精度で行える。データの質と必要な測定時間を考えると、BIX-3は現在、世界のタンパク質用中性子回折計の中で最高の性能を持つことが判明した。
皆川 宣明; 森井 幸生; 下条 豊
Proceedings of 6th International Conference on Residual Stressess (ICRS-6), Vol.2, p.1107 - 1111, 2000/07
残留応力測定では、ひずみの測定精度が10nm以下を要求される。高精度で測定するには、装置の分解能が良いことが重要である。特にモノクロメーター結晶が全面積に渡って均質なd/dが必要であり、そのため、完全結晶に曲げ応力を負荷し均質なd/dを実現した。またモノクロ中性子ビームを試料位置で高い強度にするため、曲げによる水平方向の集光、及び複数枚の結晶を用い各結晶の抑角を試料位置に集光させることにより、全結晶に入射した中性子ビームを一点に集め中性子強度の増強に成功した。複合材料などの多数の回折ピークが重なり合うような試料においても、高分解能、高精度で残留応力を測定できる装置である。
田中 伊知朗; Ahmed, F. U.*; 新村 信雄
Physica B; Condensed Matter, 283(4), p.295 - 298, 2000/06
被引用回数:4 パーセンタイル:27.8(Physics, Condensed Matter)X線に比べて中性子入射強度の大幅な不足が実験遂行上の大きな障害となっている現状を克服し、中性子を最大限に有効利用するために、当グループでは中性子回折用モノクロメータとして弾性湾曲完全結晶シリコン(EBP-Si)を用いてきた。今回発表する内容は、このEBP-Siの2種類の改良に成功したことの報告である。1つは同結晶面重ね合わせである。これを用いることで生体物質用中性子回折計(BIX-III)試料位置において、1.6倍の強度増を確認し、ruburedoxinタンパク質のデータが十分解析に耐える形で測定できた。2つ目は異結晶面重ね合わせによって2波長を同時に試料に当てた。Si粉末飼料及び有機化合物単結晶試料の測定において、別の波長からの反射を同時収集することにより、測定効率を向上させることができた。
Ahmed, F. U.*; 田中 伊知朗; 新村 信雄
Journal of Applied Crystallography, 33(Part.2), p.291 - 295, 2000/04
時間のかかる中性子回折データの収集効率を大幅に上げるため、弾性湾曲完全結晶Si(111)及びSi(220)結晶を2枚重ね合せたモノクロメータ装置を使い、単結晶と粉末中性子回折において、多波長をうまく使用する方法を確立した。この実験には3号炉のTAS-2を用いた。Si(220)からは1.80 、Si(111)からは2.94 の2波長を用いた。モノクロメータの重ね合せ方位調整はうまくいき、ロッキングカーブは約0.3度の半値幅になった。粉末Siの回折パターンを中性子イメージングプレート(NIP)で撮影してみると、2波長からの反射が、スリット無しの条件で、高強度、高統計、高位置分解能で、同時にとることができた。有機化合物単結晶からの回折斑点もNIPで撮影に成功した。各波長からの回折リング、回折斑点は、間違いなく区別が可能であった。
小西 啓之; 塩飽 秀啓; 米田 安宏; 三井 隆也; 西畑 保雄
SPring-8利用者情報, 4(5), p.4 - 8, 1999/09
SPring-8にある原研ビームラインのうち、BL14B1及びBL11XUの現状について報告する。1998年3月に本格的な利用運転を開始したBL14B1(材料科学用ビームライン)については、分光結晶の水冷却の際に生じる振動を軽減するための対策と、新型間接冷却用分光結晶の性能試験について報告する。また1996年に建設を開始したBL11XU(材料科学用ビームライン)については、1998年のコミッショニングを経て1992年の核共鳴散乱装置立ち上げに至るまでの経過について述べる。
田中 伊知朗*; 新村 信雄; Mikula, P.*
Journal of Applied Crystallography, 32(3), p.525 - 529, 1999/00
被引用回数:21 パーセンタイル:80.67(Chemistry, Multidisciplinary)タンパク質結晶構造解析用中性子回折計の新しいタイプの弾性湾曲完全結晶Si(EBP-Si)モノクロメータが開発され、2つの生体高分子用回折計への応用が成功した。このモノクロメータが最適に湾曲されたとき、試料位置において、単色化された中性子強度が増加して、かつビームが集光したことを実験的に示した。いくつかの回折計に対して既に応用している、特別に設計したEBP-Siモノクロメータ湾曲器を紹介する。EBP-Siモノクロメータの特徴的な性質を報告する。
田中 伊知朗*; 栗原 和男*; 芳賀 裕子*; 峯崎 善章; 藤原 悟; 熊沢 紳太郎*; 新村 信雄
Journal of Physics and Chemistry of Solids, 60(8-9), p.1623 - 1626, 1999/00
被引用回数:9 パーセンタイル:48.87(Chemistry, Multidisciplinary)既存の生体高分子中性子回折計を改良し、中性子イメージングプレートを装備した回折計(BIX-I)の製作のための基礎的な実験と設計を終了した。設計にあたって解決されなければならない問題点が2つ存在した。一つは単位格子が80以下の生体高分子結晶からの最近接ブラッグ反射スポットを検出器上で分離すること、もう一つは中性子イメージングプレートの中性子及び線に対する十分な遮蔽である。われわれが建設した既存の中性子回折計と比較すると、試料位置の前進及び弾性湾曲シリコンモノクロメータの高性能化を実現させることにより、検出器の立体角が8.5倍及び中性子強度が5倍となるので、最終的な測定効率が約45倍に向上する。
原見 太幹
原子力工業, 42(11), p.77 - 79, 1996/00
「原子力工業」はクロスオーバー研究の特別企画を掲載し、11月号に放射線ビーム利用先端計測・分析技術分野として原研、理研、無機材研、金材研、電総研の5機関のクロスオーバー研究「高輝度放射光の先端利用のための基盤技術の研究開発」を記事とすることになっている。原研は、高輝度放射光用モノクロメータの研究開発を行っており、エネルギー高分解能モノクロメータの開発と歪抑制型モノクロメータの開発について現状と今後の計画について記述した。
新村 信雄*; 田中 伊知朗*; 唐沢 裕子*; 皆川 宣明
Physica B; Condensed Matter, 213-214, p.929 - 931, 1995/00
被引用回数:19 パーセンタイル:72.25(Physics, Condensed Matter)タンパク質・DNA等の生体物質の水素の位置及び、それらの配位水の水素の位置を決定するための装置が、生体物質中性子回折計である。生体物質の単結晶は、大きさが1mm前後で、かつ単位格子が~100であるため、生体物質中性子回折計のモノクロメーターは、波長分散2%以下、角度分散0.4°以下が実現できるものでなければならない。我々は完全結晶シリコンを、ピアノ線を単結晶バーの両端につけ張ることで曲げ、上の要件を満足できるモノクロメーターを開発した。
中村 有夫*; 橋本 眞也*; 本橋 治彦
JAERI-Research 94-029, 54 Pages, 1994/11
分光結晶の温度や熱変形を解析し、光学的性能の劣化を議論した。3種の冷却水炉形状について、水冷銅試験体を用いた電子線照射(JEBIS)実験を実施し、結果から各水路面の熱伝達率を得た。同形状のシリコン分光結晶を想定し、得られた熱伝達率を導入して、SPring-8偏向電磁石とWPH-33J(原研試作アンジュレータ)の光を照射した場合の温度分布と熱変形を求めた。結果として、初期温度27〔C〕とすると、偏向電磁石の場合、結晶表面中心は0.27〔MW/m〕の熱流束を受けて30〔C〕程度になった。アンジュレータの場合、結晶表面中心は8.2〔MW/m〕の熱流束を受けて200~280〔C〕程度になり、結晶表面に23〔rad〕(シリコン(111)のダーウィン幅)以上のうねりが発生することが判明した。
原見 太幹
JAERI-M 90-098, 77 Pages, 1990/07
電子蓄積リングからの光をブラッグ条件で決まる狭いバンド幅に単色化するのに、モノクロメータが重要な役割を果たす。この論文は、動的回折を記述し核ブラッグ散乱用シリコン・ゲルマニウム結晶の特性データを収集したものである。データは、Ta(6.21keV)、Tm(8.42keV)、Fe(14.41keV)、Sn(23.87keV)、U(44.70keV)のメスバウア核共鳴励起エネルギーの光に対するシリコン・ゲルマニウム結晶の反射率、反射幅、エネルギー分解能、積分反射パワー、分散、ロッキング曲線である。
飯泉 仁
日本結晶学会誌, 21(2), p.168 - 172, 1979/00
二重モノクロメーター、空気浮上方式の中性子スペクトロメーターDMNSを設計製作に当たって採用された新しい中性子スペクトロメーター技術を紹介する。それは(1)タンツボーデン方式、(2)二重モノクロメータ方式、(3)垂直分解能についての工夫である。